ミニ・ワークショップ

9月16日(金)16:30~18:30

 大宮大会では、これから家族療法を学ぶ人や初学者向けに、家族療法のポイントや、家族支援における重要なテーマを扱ったミニワークショップを企画しました。大会会期内に設置され、いずれも2時間で、参加費は無料となります。興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。

1.複数面接

大平厚(カウンセリングルームIRIS/龍谷大学)

2.ジョイニング超入門

田中智之(神戸医療未来大学)

 ジョイニングの超入門ミニワークショップとして、ジョイニングというテクニカルな方法を身に付けていく上で、最も基本的な前提となる要素について学んでいきたいと思います。初学者やこれから学ぼうとされている方に特におすすめのミニワークショップです。

3.ジェノグラム入門:その情報の豊かさに触れてみましょう

藪垣将(藪垣心理療法研究室)

 ジェノグラム(Genograms)は、定められた表記法に従って、少なくとも三世代にわたる家族メンバーや家族の関係性についての情報を記録・図示するものです。
 ”Gen”は世代(Generation)を、“-gram”は「~を描いたもの」を意味します。したがって、ジェノグラムは単に家族関係や基本的な属性などの情報を図示するものではありません。それらの情報に加えて、世代を超えて繰り返されるパターン、生物学上の系譜を超えた世代間相互作用を取り扱うものです。
 ジェノグラムを作成するのに必要となる基本的な情報は、主にアセスメントの初期の段階で収集されます。一方で、ジェノグラムは介入のための有用なツールとしても用いられます。
本ワークショップは、基本的なジェノグラムを描けるようになること、そしてジェノグラムをある程度読み解けるようになることを到達目標と致します。ジェノグラムを臨床に活かせるようになるためには、ジェノグラムをたくさん作成し、検討し、その扱いや解釈に習熟する必要があります。本ワークショップは、その最初の足掛かりとなることを目指します。
 さらに、臨床上のさまざまな工夫や、専門家教育の一環としてのジェノグラム・インタビューなど、臨床場面以外での運用方法についてもご紹介します。

4.思春期・青年期の子どもと夫婦・家族へのアタッチメント理論に基づく支援

稲垣綾子(日本女子大学家政学部児童学科)

 Bowlbyが提唱した危機時に発動する対人的な行動システムであるアタッチメントは、生物が備えている基本的なニーズで、私たちが生き延びていくのに不可欠なものです。アタッチメントニーズの受け手である大人は子どものSOSに出会うと、ケアしようという気持ちや衝動を高め、養育システムを発動させます。アタッチメント関係は、一方がどうニーズを伝え、もう一方がそれにどう応答するかという経験のくりかえしによって形作られます。これは成人同士の関係でも基本的に変わりません。
 しかし、思春期・青年期から成人期への移行においてニーズの表現は複雑化します。ニーズが伝わらなかったり、それを受け止めにくかったり、その内容が誤解されたままだったりすると、関係の悪循環が生じることは言うまでもありません。
また、アタッチメントには個人差があることが知られています。クライエントの心の危機時に出会うことの多い臨床では、家族メンバーそれぞれのアタッチメントシステムで何が起きて悪循環のパターンを引き起こしているのかを理解し、どう手当するとよいかを考える文脈を家族に提供する道が拓かれます。
 Bowlby 自身も臨床において、現実の家族との関わりを重視し家族合同面接を取り入れてきました。家族療法が大事にしてきたシステム論、構造論、多世代論とも相性のよいアタッチメントの視点を、近年の潮流であるアタッチメントベースドプログラムの紹介も含めて共有したいと思います。

5.ヤングケアラーへの支援を考えるー精神疾患のある親と暮らす子どもを中心にして

長沼葉月(東京都立大学人文社会学部)

 ヤングケアラーが経験するかもしれない困難について、精神疾患のある親と暮らす子どもを例に挙げて紹介したのち、支援に際して配慮すべき点を説明します。また事例検討の時間も設ける予定です。